生い立ち(4)

山梨での2年間

山梨学院大学に赴任することになったのは、尊敬する三好規正先生からお誘いをうけたことがきっかけでした。
三好先生は、国交省に赴任することになった際、一番強く、エールを送ってくださいました。

それは、三好先生ご自身が、大学卒業後、愛媛県庁の職員として自治体実務を御経験される中で問題意識を深められ、毎週、瀬戸大橋を渡って神戸大学まで通学し、河川法の研究で博士号まで取得された御経験からでしょう。

山梨学院大学には、文化・学術行政の権威である椎名慎太郎先生もいらっしゃいました。
たいへん博識かつ研究熱心な先生で、FMラジオのレギュラー番組「教えて椎名先生」は本にもなっているほどの方です。

考古学への深い造詣から、遺跡保存にも情熱を傾けられており、有名な伊場遺跡訴訟で主導的な役割を担われたことでも知られています。
本業の行政法学では、70歳を超えた現在でも精力的に論文を執筆され、全国的に広く尊敬を集めている方です。

椎名先生と一緒に担当させて頂いた法科大学院の自主ゼミでは、私も受講者のみなさんと一緒に椎名先生の授業を聴かせて頂くような感じで、非常に貴重な経験でした。

山梨学院は、こじんまりとしていて綺麗なキャンパスが印象的でした。
事務職員の方々はみな親切にしてくださり、学生も(もう少し勉強に励んでもらいたいところでしたが)とても素直で、保護者懇談会や生活相談まで担当していると、なんだか中学校か高校の先生にでもなったかのような気分でした。
(もともと学校の先生になりたかったので、これは非常に嬉しかったです。)

山梨学院は、箱根駅伝でよく知られているように、柔道、レスリング、水泳、ホッケー、スケート、ラグビーなど、カレッジスポーツにも非常に力を入れています。
スポーツ強化指定選手のみなさんは体格や運動神経が抜群で、それでも話をしてみると素朴な好青年が多く、本当に楽しかったです。

地元のお店などでも、顔なじみの客になって、店員さんがみな親切にしてくださいました。
あたたかい土地柄だなあと感じました。

私の遠い祖先は、甲斐国山梨郡板垣村に居を構えて、それが縁で板垣氏を名乗ることになったといわれています。
武田氏が滅亡した後、上杉氏を頼り会津・米沢と移り住む中で福島の地に土着したのだと、父から聞かされてきました。
現在の酒折、善光寺、東光寺の付近が、この「板垣村」だったそうです。

ふしぎな縁に導かれてやってきた山梨では、多くの親切に触れて、本当に感謝しています。

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